今日は、「ストローク」について考えてみましょう。ここでいうストロークとは、「あなたがそこにいることを私は知っているよ」という心理学用語です。コミュニケーションの刺激の一単位(一打)といわれています。
私たちはふれあい不足(ストローク不足)に陥ると、水や食べ物がないのと同じように大変苦しくなります。
例えば、近所の人に「おはよう」とあいさつしたのに相手から気持ちよく「おはよう」が返ってこない時、「ただいま」と言っても家族がむっとして返答がない時など、コミュニケーションの一打に対して、期待した通りのリアクションがない時に、私たちは不安になります。
また、家庭・職場・地域などのコミュニティの中で、自分の存在を認めてもらえないと感じた時に、食欲がなくなったり、何もする気にならなくなったりすることがあります。このようにストローク不足は生きる気力を低下させ、継続的に続くと心身にあらゆるダメージを与えるのです。
特に子どもは、ストローク不足が命に関わるほど大きな問題になります。そのため、子どもはストローク不足になると、それを解消するために、危険行動や親が困ることをして、親の気を引く行動を取ります。子どものストローク不足が解消するまで続きます。これは子どもの問題行動で、ストローク不足のサインです。
ところで、ストロークには「肯定的なストローク」と「否定的なストローク」がありますが、子どもは「肯定的なストローク」を得るのは難しいが、「否定的なストローク」なら得られやすいため、子どもがストローク不足になると、親の困ることが起こる、これが問題行動のメカニズムです。
では、ストローク不足を解消するにはどうすればよいのでしょうか。それは、肯定的なストロークをたっぷりと求められるだけ与えることです。人間が生まれてから死ぬまで、いくつになっても求めて止まないもの、それは「無条件の愛と許し」といわれています。何より優しいまなざしと声かけ、そして「心の触れ愛」、それが「タッチ・コミュニケーション🄬」です。子どもの年齢が上がるとともに「今あるがままの子どもの存在を心から認める言葉かけ」が大切ですが、それが難しい時は「とにかく抱きしめる」というタッチ・コミュニケーション🄬がストローク不足解消の特効薬となるでしょう。ぜひお試しくださいね。
2010年03月25日更新
NPO法人 日本タッチ・コミュニケーション協会
宇治木敏子