先日、タッチ・コミュニケーション協会主催の教育講演会で、発達心理学者の田島信元先生から「20世紀の子育ては間違いだらけだった」というお話しがありました。子育て支援の活動をしている私たちも、お母さん達から『抱き癖』がつくから、赤ちゃんが泣いてもあまり抱っこしないほうがいいと聞いたのですが、本当ですか?」という相談を受けることがあります。
これはアメリカから伝わった育児法で、泣いてもすぐ抱かないことで、自律した強い子どもを育てるという考え方に起因していると思われますが、しかしアメリカでは凶悪犯罪の低年齢化が起こり、その原因として「幼い頃のふれあい不足」が浮上しました。赤ちゃんの頃に母親とのふれあいが少ないと、親子の絆が育めないばかりか、社会的にもリスクを抱えるということが分かってきたのです。そのためアメリカでは30年以上前から、ベビーマッサージのアタッチメント効果などの研究が積極的に行われています。
さらに心理学的にも、人間が自律するためには、できるだけ幼い頃に安心感を持たせるスキンシップが重要であり、ふれあい重視の子育てにすることが提唱されています。『赤ちゃんを抱っこしていると、抱き癖がつく』ということはありません。安心して抱っこしてあげてくださいね。
このように時代によって子育て方法も変わってきましたが、21世紀を生きる子どもたちに要求されている能力は、Plan-Do-Seeのシステムで課題解決することだと、田島先生は明言されました。
社会の変化がゆるやかだった昔は年配者の助言も役に立ちましたが、急速に変化する現代社会においてはそれだけに頼ることはできませんので、子育てに対しても簡単にアドバイスができなくなりました。 加速した時代の流れと、ますます激しくなる情報化に対応できるよう、子どもをどう育てるか?また適応性やストレス耐性を持たせ、生き抜く力を子ども本人に身につけさせるにはどうすれば良いか?私たちは、Plan-Do-Seeの能力開発法として『タッチ・コミュニケーション🄬の子育て支援プログラム』を提唱しています。子ども自身に、Plan-Do-Seeサイクルを育てるには、まずは親もPlan-Do-Seeサイクルの学びが必要だと、私たちは考えています。ぜひあなたも、子どもの発達に合わせたタッチ・コミュニケーション🄬や心理学などをトータルに学び、子どもの一生を考えた最先端の子育て方法を実践してみてください。
2009年9月25日更新
NPO法人 日本タッチ・コミュニケーション協会
宇治木敏子